倫理 分析コメント


思想内容の理解力や読解力を問う問題構成は変わらず。

昨年同様、統計資料問題が1問、本文読解問題と資料文読解問題が各大問で1題ずつ出題された。

難易度 昨年並み
現行課程教科書で記述の増えた現代思想分野の人物を意識した設問構成となっている。例年、各大問で本文読解問題が出題されており、昨年はそのうち2問が8択問題となり取り組みにくくなったが、今年はすべての本文読解問題が4択問題に戻った。芸術関連の設問(解答番号3)およびクーンの思想を問う設問(解答番号34)や現象学者を問う設問(解答番号36)はやや難しいが、全体の難易度は昨年並み。
出題分量
出題分量(大問数・設問数)に変化はない。
出題傾向分析
昨年は組合せ問題が12問出題されたが、今年は10問となり2問減った。ただし、10問すべてが8択問題である。第1問で出題される統計資料問題について、近年の出題は解答に時間を要するものであったが、今年の設問(解答番号5)は比較的取り組みやすいものになった。いずれにせよ、倫理の学習においては、基本的用語の暗記のみならず、文章読解力を鍛えるとともに、思想史の流れを理解して概略的に思想を把握できるような学習を心がける必要がある。
2017年度フレーム
大問 分野 配点 マーク数
1 現代社会の諸課題と青年期 28 10
2 源流思想 24 9
3 日本思想 24 9
4 西洋近現代思想 24 9
合計 100 37
2016年度フレーム
大問 分野 配点 マーク数
1 現代社会の諸課題と青年期 28 10
2 源流思想 24 9
3 日本思想 24 9
4 西洋近現代思想 24 9
合計 100 37
2017年度設問別分析コメント
第1問 「芸術作品と現代のテクノロジー」をめぐる会話文をもとに、生命倫理、芸術作品と思想、世代間倫理、大衆社会論、情報社会や消費社会をめぐる思想を展開した人物などが問われた。自己の確立についての設問(解答番号2)のアリエスやアドラー、芸術関連の設問(解答番号3)の尾形光琳や雪舟などは、倫理の学習において見逃しがちな人物であり、取り組みにくい。情報社会や消費社会をめぐる設問(解答番号9)で取り上げられている人物については、正確な知識が必要である。第1問は、思想のみならず、現代社会をめぐる倫理問題が広く取り上げられることを意識した準備が必要である。
第2問 「現実社会と生の模索」をテーマとした本文をもとに、アウグスティヌス、イスラーム教、古代インド思想、ヘレニズム思想、儒家など、東西の源流思想に関する基本事項が幅広く出題された。ほとんどの設問が、教科書の範囲内の学習で対応できる。ただし、ヘレニズム思想を問うた設問(解答番号15)のcは、「一者」という用語から「プロティノス」が正解と分かるが、やや取り組みにくかったであろう。解答番号16のパルメニデスは、倫理の学習過程において見逃しがちな人物である。もっとも第2問は、他の大問に比べ比較的取り組みやすい設問が並んでおり、ここで着実に得点を伸ばしておきたい。
第3問 「日本における外来思想の受容と展開」をテーマとした本文をもとに、古代から現代までの日本思想が幅広く出題された。資料文読解問題(解答番号24)は昨年に続き古文の出題であり、やや取り組みにくい。柳宗悦について問うた設問(解答番号27)は、選択肢2の伊波普猷(いはふゆう)や、選択肢3の九鬼周造が取り上げられており取り組みにくくみえるが、他は基本的な人物についての設問であり解答可能である。第3問の日本思想に関しては、基本的な人物についての学習はもちろんのこと、教科書の脚注に記載されている人物についても確認しておくような綿密な学習が求められている。
第4問 「自然と人間をめぐる知の探究」をテーマとした本文をもとに、モンテーニュ、デカルト、クーン、デューイ、現象学者の思想などが問われた。資料文読解問題(解答番号32)は、昨年のベルクソンに比べれば、取り組みやすかっただろう。クーンの思想を問う設問(解答番号34)は、選択肢でリオタール(選択肢2)やクワイン(選択肢4)の思想も取り上げられており、やや難しい。これに加えて、メルロ=ポンティやフッサールとともに、ハイデガーやカミュの思想の理解を問う設問(解答番号36)にみられるように、近年は現代思想からの出題が目立つため、それを意識した学習が必要である。
過去の平均点の推移
12年度 13年度 14年度 15年度 16年度
69.0 58.8 60.9 53.4 51.8
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