日本史A 分析コメント


現行課程入試2年目の今年は「現代の諸課題に着目して考察させる」という現行課程の視点が強まった。

例年通り、図版・地図・統計などを用いた出題が多くみられた。とくに、漫画・アニメの図版とその当時の経済動向を関連させて問う意欲的な出題が見られた。
幕末からの出題は、昨年は「日米修好通商条約」のみだったが、今年は第2問・第3問で政治・社会の動向を扱った問題が複数みられた。

難易度 昨年並み
石橋湛山内閣・減量経営・『国体の本義』などセンター試験としては詳細な知識が問われ、また史料・統計の読み取りも本格的で、例年通り難しかった。
出題分量
大問数は5題、マーク数は32で、昨年同様だった。
出題傾向分析
時代では、大正から昭和戦前が、昨年の12題から7題に減少し、その他の時期がそれぞれ微増した。出題された最も古い時期は徳川家茂・島津久光、最も新しい時期はバブル経済(ただしグラフでは1999年まで)。
分野では、政治・社会経済がやや増加し、外交・文化がやや減少した。
2017年度フレーム
大問 分野 配点 マーク数
1 近現代の「妖怪」をめぐる総合問題 20 6
2 幕末から明治期の大坂(大阪) 12 4
3 三島通庸の人物史 19 6
4 近現代の公園をめぐる歴史 24 8
5 昭和期の経済・社会 25 8
合計 100 32
2016年度フレーム
大問 分野 配点 マーク数
1 近代日本における洋装 20 6
2 明治期の地方制度 12 4
3 近代日本における動物と人間 19 6
4 日本とオリンピック 24 8
5 大正期以降の日本における労働 25 8
合計 100 32
2017年度設問別分析コメント
第1問 近現代における「妖怪」をめぐる言説や「妖怪」に譬えられた人物に関して総合的に問う。問2はT岸信介内閣・U池田勇人内閣・V石橋湛山内閣の年代配列が問われているが、石橋湛山内閣は教科書などで詳しく扱われることは少なく、難しかっただろう。問4は漫画・アニメに描かれた「妖怪」が登場する経済的背景が問われているが、高度経済成長終焉後の経済史は受験生の学習が行き届きにくく、また「国内産業は空洞化」「減量経営」など判断の難しいところで誤りが作られていた。全体的にやや難のレベルである。
第2問 幕末から明治期の大坂(大阪)をテーマとした問題文を用い、当該期の政治・社会経済を中心に問うているが、大坂(大阪)を扱った設問は出題されていない。問3では大久保利通の業績が扱われたが、誤文は明確であり難しくはない。全体には標準的なレベルの問題である。〈日本史Bの第5問との共通問題〉
第3問 三島通庸の人物史をテーマに、文明開化・殖産興業・近代絵画・自由民権運動・条約改正交渉など明治期の諸相を幅広く問うている。問3は高橋由一の「鮭」の図版を選ぶもので、文化史学習の深度によって出来・不出来が分かれただろう。問4空欄ウは、三島と「保安条例」の関係を知らなくても、「民権派を東京の中心部から追放」から判断したい。全体的に標準的なレベルである。
第4問 近現代の公園を素材に近現代を総合的に問うている。Aでは日比谷公園を取りあげ、明治末期から1960年までの政治・外交などを、Bでは上野公園・天王寺公園での内国勧業博覧会を取りあげ、明治・大正期の社会経済・文化を、Cでは国家が節目や行事を記念して1960年代に設置した公園を取りあげ、明治期〜昭和戦中期の政治を中心に問うている。問2では図版を利用した年代配列問題が出題された。Vは「左派社会党」・「右派社会党」に着目できれば、サンフランシスコ講和から55年体制成立以前の時期との判断はできよう。センター試験の図版問題では、こうした情報に着目できるような注意力も必要である。問6では統計を利用した問題が出題された。全体的には、標準的なレベルの問題である。〈日本史Bの第6問との共通問題〉
第5問 近現代の経済政策と国民生活をテーマとする問題。問2は井上準之助蔵相の著作を用いた史料問題で、用語だけでなく経済政策の内容の理解が求められており、多くの受験生が苦戦したのではないだろうか。問5選択肢4の日本労働組合総連合会(連合)は、ほとんどの受験生が知らないだろうが、これは正誤の判断を保留して明らかな誤りを探すようにしたい。問8はグラフを用いた問題。問題文の読み取りから、1973年から上昇している甲が社会保障関係費、1972年まで上昇し1973年以降は下降している乙が国土保全および開発費、と判断できただろう。全体的にやや難のレベルである。
過去の平均点の推移
12年度 13年度 14年度 15年度 16年度
48.7 41.6 47.7 45.6 40.8
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